下げ終わり]
[#地から2字上げ](五月二十四日)
余は『春夏秋冬』を編《あ》むに当り四季の題を四季に分《わか》つに困難せり。そは陽暦を用ゐる地方(または家)と陰暦を用ゐる地方(または家)と両様ありてそれがために季の相異を来す事多ければなり。たとへば
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陽暦を用ゐれば 陰暦を用ゐれば
春┌灌仏《かんぶつ》 春┌新年
└端午《たんご》 └やぶ入
夏┌七夕 夏┌灌仏
└盂蘭盆会《うらぼんえ》 └端午
秋┌十夜《じゅうや》、御命講《おめいこう》 秋┌七夕
└芭蕉忌《ばしょうき》 └盂蘭盆会
冬┌新年 冬┌十夜、御命講
└やぶ入 └芭蕉忌
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の如きものにして東京は全く新暦を用ゐ居れど地方にては全く旧暦に従ひ居るもあり、または半ば新暦を用ゐ半ば旧暦を用ゐ居るもあり。この際に当りて東京に従はんか地方に従はんかは新旧暦いづれが全国の大部分を占め居るかを研究しての後ならざるべからず。余はこの事につ
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