べきものに非ず、一度その中に這入《はい》つて善くその内部を研究し而して後に娑婆《しゃば》に出でなば再《ふたたび》陥る憂《うれい》なかるべし、月並調を知らずして徒《いたずら》に月並調を恐るるものはいつの間にか月並調に陥り居る者少からず、試みに蒼※[#虫+礼のつくり、第3水準1−91−50]《そうきゅう》梅室《ばいしつ》の句を読め。[#地から2字上げ](四月二十二日)
何人の忘れ置きけん枕元に尾形光琳《おがたこうりん》伝と書ける一葉摺《いちようずり》の者あり。三、四十行の短文にして末に、明治三十四年四月文学博士|重野安繹《しげのやすつぐ》撰、と書けり。思ふにこの頃光琳ら四家の展覧会とかありといへばその辺の引札の類ならんか。それにしても
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ソノ画ク所|花卉《かき》※[#「令+挧のつくり」、第3水準1−90−30]毛《れいもう》山水人物|悉《ことごと》ク金銀泥《きんぎんでい》ヲ用ヒテ設色スルニ※[#「禾+農」、第4水準2−83−8]艶《じょうえん》妍媚《けんび》ナラザルハナク而モ用筆《ようひつ》簡淡《かんたん》ニシテ一種ノ神韻《しんいん》アリ
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