堂」と慷慨せしめたる、四百年前の最大[#「最大」に白丸傍点]」建築なり。噴飯
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云々
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おちやのみづのうてなたかどのたましけどしなぬくすりをうるみせはなし
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[#5字下げ]東京湾[#「東京湾」は中見出し]

 隅田河口は年々陸地を拡げて品川沖は殆《ほとん》ど埋れ尽さんとす。されど最新の式に憑《よ》りて第四回の改築を行ひたる東京湾は桟橋|櫛《くし》の歯の如く並びて、林の如き帆檣《はんしょう》安房上総《あわかずさ》の山を隠したり。第七砲台の跡に建てられたる銅像、日本が数箇の強国を打ち倒し第十四回平和会議の紀念として建てられたる万国平和の肖像は屹然《きつぜん》として天に聳《そび》え、日々月々出入する幾多の船舶の上に慈愛の露を灑《そそ》ぎ居れり。世界第一の大軍艦|豊葦原《とよあしはら》号の帆檣が満潮の際においてなほこの肖像の台石に及ばざる事数尺なりといふ。この時における港湾は最早単一なる船舶|碇繋場《ていけいじょう》にあらずしてむしろ海上の市街なり。万般の必要物は悉《ことごと》くこれを商ふ船舶ありて、いはゆる移動商店(商ひ
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