四百年後の東京
正岡子規
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)紅塵万丈《こうじんばんじょう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)緑|滴《したた》り
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「間+鳥」、45−14]
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[#5字下げ]神田川[#「神田川」は中見出し]
都会の中央、絶壁屏風の如く、緑|滴《したた》り水流れ、気清く神静かに、騒人は月をここに賞し、兇漢は罪をここに蔵す、これを現今の御茶の水の光景とす。紅塵万丈《こうじんばんじょう》の中この一小閑地を残して荒涼たる山間の趣を留む、夫《か》の錙銖《ししゅ》を争ふ文明開化なる者に疑ひなき能はざるなり。不折《ふせつ》が画く所、未来の神田川、また余輩と感を同じうせし者あるに因るか。図中、三重に橋を架す、中なるは今の御茶の水橋の高さにあり、屋上最高の処に架したるは高架鉄道にして、最下にある者もまた一般の通路なり。三層五層の楼閣は突兀《とっこつ》として空を凌《しの》ぎ、その下層はかへつ
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