大となる。けだし走者の多き時は遊技いよいよ複雑となるにかかわらず球は終始ただ一個あるのみなればなり。今走者と球との関係を明かにせんに走者はただ一人|敵陣《てきじん》の中を通過せんとするがごとき者、球は敵の弾丸《だんがん》のごとき者なり。走者は正方形(前回の図を参照すべし)の四辺を一周せんとする者にして一歩もこの線外に出ずるを許さずしかしてこの線上において一たび敵の球に触るれば立どころに討ち死[#「この線上において一たび敵の球に触るれば立どころに討ち死」に白丸傍点](除外《アウト》)を遂ぐべし[#「を遂ぐべし」に白丸傍点]。※[#始め二重括弧、1−2−54]ここに球に触るるというは防者の一人が手に球を持ちてその手を走者の身体の一部に触るることにして決して球を敵に投げつくることに非ず[#「ここに球に触るるというは防者の一人が手に球を持ちてその手を走者の身体の一部に触るることにして決して球を敵に投げつくることに非ず」に傍点]。もし投げたる球が走者に中《あた》れば死球《デッドボール》といいて敵を殺さぬのみならずかえって防者の損になるべし※[#終わり二重括弧、1−2−55]されば走者がこの危険の
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