中に身を投じて唯一《ゆいいつ》の塁壁《るいへき》と頼《たの》むべきは第一第二第三の基《ベース》なり。けだし走者の身体の一部この基[#「けだし走者の身体の一部この基」に傍点](坐蒲団《ざぶとん》のごとき者)に触れおる間は敵の球たとい身の上に触るるも決して除外とならず[#「に触れおる間は敵の球たとい身の上に触るるも決して除外とならず」に傍点]。(この場合において基は鬼事《おにごと》のおか[#「おか」に白丸傍点]のごとし)故に走者はなるべく球の自己に遠かる時を見て疾走《しっそう》して線を通過すべし。例えば走者第一基にあり、これより第二基に到《いた》らんとするには投者《ピッチャー》が球を取て本基(の打者《ストライカー》)に向って投ずるその瞬間《しゅんかん》を待ち合せ球手を離るると見る時走り出すなり。この時|攫者《キャッチャー》はその球を取るやいなや直ちに第二基に向って投ずべく第二|基人《ベースマン》はその球を取りて走者に触れんと擬《ぎ》すべし。走者は匆卒《そうそつ》の際にも常に球の運動に注目しかかる時直ちに進んで険を冒《おか》し第二基に入るか退いて第一基に帰るかを決断しこれを実行せざるべからず
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