。第二基より第三基に移る時もまたしかり。第三基より本基《ホームベース》に回る時もまたしかり。但《ただし》第三基は第二基よりも攫者に近く本基は第三基よりも獲者に近きをもって通過せんとするには次第に危険を増すべし。走者《ラナー》二人ある時は先に進みたる走者をまず斃《たお》さんとすること防者が普通の手段なり。走者三人ある時はこれを満基《フルベース》という。(一基に走者一人以上留まることを許さず故に走者は三人をもって最多数とす)満基の時打者が走者となれば今までの走者は是非《ぜひ》とも一基ずつ進まざるべからず。これ最も危険なる最も愉快《ゆかい》なる場合にしてこの時の打者の一撃《いちげき》は実に勝負にも関すべく打者もし好球を撃《う》たば二人の廻了《ホームイン》を生ずることあり、もし悪球を撃たば三人ことごとく立尽《スタンジング》(あるいは立往生という)に終ることさえあるなり。とにかく走者多き時は人は右に走り左に走り球は前に飛び後に飛び局面|忽然《こつぜん》変化して観者をしてその要を得ざらしむることあり。球戯《ベースボール》を観る者は球を観るべし[#「を観る者は球を観るべし」に白丸傍点]。
○ベースボ
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