を唯一の目的とするをもってこれがためには各人皆臨機応変の処置を取るを肝要《かんよう》とす。防者は皆打者の球は常に自己の前に落ち来《きた》る者と覚悟《かくご》せざるべからず。基人《ベースマン》は常に自己に向って球を投げらるる者と覚悟せざるべからず。
○ベースボールの攻者[#「ベースボールの攻者」に白ゴマ傍点] 攻者は打者《ストライカー》と走者《ラナー》の二種あるのみ。打者はなるべく強き球を打つを目的とすべし。球強ければ防者の前を通過するとも遮止《しゃし》せらるることなし。球の高く揚《あが》るは外観美なれども攫まれやすし。走者は身軽にいでたち、敵の手の下をくぐりて基《ベース》に達すること必要なり。危険なる場合には基に達する二間ばかり前より身を倒《たお》して辷《すべ》りこむこともあるべし。この他特別なる場合における規定は一々これを列挙せざるべし。けだし一々これを列挙したりともいたずらに混雑を加うるのみなればなり。
○ベースボールの特色[#「ベースボールの特色」に白ゴマ傍点] 競漕《きょうそう》競馬競走のごときはその方法甚だ簡単にして勝敗は遅速《ちそく》の二に過ぎず。故に傍観者《ぼうかんしゃ》
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