らの脚、二つの鼻孔をつないでいる金属の輪、螺環《コイル》の髪、貝殻《かいがら》の耳飾り、閃光《せんこう》する秋波《ながしめ》、頭上に買い物を載せてくる女たち、英吉利旦那《イギリスマスター》のすばらしい自用車、あんぺらを着た乞食《こじき》ども、外国人に舌を出す土人の子、路傍に円座して芭蕉《ばしょう》の葉に盛ったさいごん[#「さいごん」に傍点]米と乾《ドライ》カレーを手づかみで食べている舗装工夫の一団、胸いっぱいに勲章を飾って首に何匹もの蛇《へび》を巻きつけた蛇使いの男、籠《かご》から蛇を出して瀬戸物らっぱで踊らせる馬来《マライ》人、蛇魅師《スネーク・チャーマー》の一行、手に手に土人|団扇《うちわ》をかざした紐育《ニューヨーク》の見物客、微風にうなずくたびに匂う肉桂《にっけい》園、ゆらゆらと陽炎《かげろう》している聖《セント》ジョセフ大学の尖塔《せんとう》、キャフェ・バンダラウェラの白と青のだんだら日よけ、料理場を通して象眼《ぞうがん》のように見える裏の奴隷湖、これらを奇異に吸収しながら、そのキャフェまえの歩道の一卓で生薑《しょうが》水と蠅《はえ》の卵を流しこんでいる日本人の旅行者夫妻、そ
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