四条 身体を大切にし健康を保つは、人間|生々《せいせい》の道に欠く可らざるの要務なり。常に心身を快活にして、苟《かりそ》めにも健康を害するの不養生を戒む可《べ》し。
第五条 天寿を全うするは人の本分を尽すものなり。原因事情の如何《いかん》を問はず、自《みず》から生命を害するは、独立自尊の旨に反する背理卑怯の行為にして、最も賤《いやし》む可き所なり。
第六条 敢為活溌《かんいかっぱつ》堅忍不屈《けんにんふくつ》の精神を以てするに非ざれば、独立自尊の主義を実《じつ》にするを得ず。人は進取確守の勇気を欠く可《べか》らず。
第七条 独立自尊の人は、一身の進退方向を他に依頼せずして、自《みず》から思慮判断するの智力を具へざる可らず。
第八条 男尊女卑は野蛮の陋習《ろうしゅう》なり。文明の男女は同等同位、互に相《あい》敬愛《けいあい》して各《おのおの》その独立自尊を全《まった》からしむ可《べ》し。
第九条 結婚は人生の重大事なれば、配偶の撰択は最も慎重ならざる可らず。一夫一婦終身同室、相敬愛して、互いに独立自尊を犯さゞるは、人倫の始なり。
第十条 一夫一婦の間に生るゝ子女は、其父母の他《ほか》に父
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