足に合《がっ》して永続の費《ついえ》に供せり。ただし半年一歩の出金は、その家に子ある者も子なき者も一様に出ださしむる法なり。金銀の出納《すいとう》は毎区の年寄にてこれを司り、その総括をなす者は総年寄《そうとしより》にて、一切官員のかかわるところにあらず。
 前条の如く、毎半年各戸に一歩の金を出ださしむるは官の命なれども、この金を用《もちう》るにいたりては、その権まったく年寄の手にあり。この法はウェーランド氏経済書中の説に暗合せるものなり。
 小学生徒の数、毎校少なきものは七十人より百人、多きものは二百人より三百人余。学校の内、きわめて清楚、壁に疵《きず》つくる者なく、座を汚す者なく、妄語せず、乱足せず、取締の法、ゆきとどかざるところなし。かつ学校の傍《かたわら》にその区内町会所の席を設け、町役人出張の場所となして、町用を弁ずるの傍に生徒の世話をも兼ぬるゆえ、いっそうの便利あるなり。
 四所の中学校には、外国人を雇い、英仏|日耳曼《ゼルマン》の語学を教えり。その法は東京・大坂に行わるるものと大同小異。毎校生徒の数、男女百人より二百人、その費用はまったく官より出《い》ず。中学校の内、英学|
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