こで割り注終わり]なるもあり。また宴席、酒|酣《たけなわ》なるときなどにも、上士が拳《けん》を打ち歌舞《かぶ》するは極て稀《まれ》なれども、下士は各《おのおの》隠し芸なるものを奏して興《きょう》を助《たすく》る者多し。これを概《がい》するに、上士の風は正雅《せいが》にして迂闊《うかつ》、下士の風は俚賤《りせん》にして活溌《かっぱつ》なる者というべし。その風俗を異《こと》にするの証は、言語のなまりまでも相同じからざるものあり。今、旧中津藩地士農商の言語なまりの一、二を示すこと左のごとし。
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上士 下士 商 農
見て呉れよと みちくれい みちくりい みてくりい みちぇくりい
いうことを
行けよという いきなさい いきなはい 下士に同じ 下士に同じ
ことを 又いきない 又いきなはりい
如何《いかが》せんかと どをしよをか どをしゆうか どげいしゆうか 商に同じ
いうことを 又どをしゆうか
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この外《ほ
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