てゐる杜国と荷兮のうち、杜国の抒情味もさることながら、荷兮の作家的手腕にこの頃また今更のやうに感心してをります。この荷兮といふ男はどうした男なのでせうか。俳句の方はそれほどでもないのに、連句のつけのあざやかさ。
先日宮島へ行つてみました、ここも水害でやられてをりますが紅葉は綺麗でした。あまりみごとだつたので、その葉を拾つて帰りました。
広島は己斐駅のあたりが賑やかになり、バラツクの食堂が建つて居ります。物価は東京とあまり違はないのではないかと思へる位です。乞食もだいぶ居るやうです。
十二月にはお目にかかれるでせう。元気で帰つて来なさい。
[#地から3字上げ]十一月二十四日 原民喜
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永井善次郎様
[#ここで字下げ終わり]
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●昭和二十年十二月十二日 八幡村より 松戸市 永井善次郎宛
[#ここで字下げ終わり]
お変りありませんか。
新しい原稿書きかけたのですが纏らないので原子爆弾の方を速達で送つておきました。十七字十二行になつて居て字もきたなく意に満たない個所もありますが、適当に御取扱ひ下さい。
本郷へは
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