の友達らしく、腰のしゃんとしたみすぼらしい老婆が、店の前にしゃがむと、
「お婆あはん、何ぞえゝ、仕事ありまへんやろかな、でもな、あんまりぶらぶらしてますよって、会長はんも、えゝ顔しやはらへんのでなあ、なんぞ思うてまんねえ……。」
「そうやなあ、栄町の宿屋はんやけど、蒲団の洗濯があるいうてましたけんど、なんぼう……廿銭も出すやろか……。」
「そりやえゝなあ、二枚洗ろうてもわて[#「わて」に傍点]食えますがな……。」
 こだわりのない二人のお婆さんを見ていると、こんなところにもこんな世界があるのかと、淋しくなった。

 とうとう夜になってしまった。
 港の灯のつきそめる頃は、真実そゞろ心になってしまう。でも朝から、汗をふくんでいる着物の私は、ワッと泣たい程切なかった。
 これでもへこたれないか! これでもか! 何かゞ頭をおさえているようで、私はまだまだ、と口につぶやきながら、当もなく軒をひらって歩いていると、バスケット姿が、オイチニイの薬屋よりもはかなく思えた。
 お婆さんに聞いた商人宿はじきわかった。
 全く国へ帰っても仕様のない私なのだ、お婆さんが、御飯焚きならあると云ったけれど。――
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