たバスケット。
静脈の折れた日傘。
煙草の吸殻よりも味気ない女。
私の戦闘準備はたったこれだけでござります。
砂ほこりの楠公さんの境内は、おきまりの鳩と絵ハガキ屋。
私は水の枯れた六角の噴水の石に腰を降ろして、日傘で風を呼びながら、汐っぱい青い空を見た。あんまりお天陽様が強いので、何もかもむき出しにぐんにゃりしている。
何年昔になるだろう――
十五位の時だったかしら、私はトルコ人の楽器屋に奉公していたのを思い出した。
ニィーナという二ツになる女の子の守りで、黒いゴム輪の腰高な乳母車に、よく乗っけてメリケン波止場の方を歩いたものだった。
クク……クク……鳩が足元近かく寄って来る。
人生鳩に生れるべし。
私は、東京の男の事を思い出して、涙があふれた。
一生たったとて、私が何千円、何百円、何拾円、たった一人のお母さんに送ってあげる事が出来るだろうか、私を可愛がって下さる行商してお母さんを養っている気の毒なお義父さんを慰さめてあげる事が出来るだろうか! 何も満足に出来ない女、男に放浪し職業に放浪する私、あゝ全く頭が痛くなる話だ。
「もし、あんたはん! 暑うおまっし
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