、焦々しているのだと善意にカイシャクしていた大馬鹿者の私です。

 そうだ、帰えれる位はあるのだから、汽車に乗ってみようかな。
 あの快速船のしぶきもいゝじゃないか、人参灯台の朱色や、青い海、ツヽンツンだ。
 夜汽車、夜汽車、誰も見送りのない私は、スイッとお葬式のような悲しさで、何度も不幸な目に逢て乗る東海道線に身をまかせた。

 七月×日
「神戸にでも降りてみようかしら、何か面白い仕事が転がってやしないかな……。」
 明石行きの三等車は、神戸で降りてしまう人達ばかりだった。
 私もバスケットを降ろしたり、食べ残りのお弁当を大切にしまったりして、何だか気がかりな気持ちで神戸駅に降りてしまった。
「これで又仕事がなくて食えなきぁ、ヒンケマンじゃないか、汚れた世界の罪だよ。」

 暑い陽ざしだ。
 だが私には、アイスクリームも、氷も用はない。ホームでさっぱりと顔を洗うと、生ぬるい水を腹いっぱい呑んで、黄ろい汚れた鏡に、みずひき草のように淋しい姿を写して見た。
 さあ矢でも鉄砲でも飛んでこいだ。
 別に当もない私は、途中下車の切符を大事にしまうと、楠公さんの方へブラブラ歩いていた。
 古ぼけ
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