、
「そんなに困っているの……。」と云う。
「拾円位ならいつでも借してあげるよ。」
暗いガラス戸をかすめて雪がちらしのように通って行く。
私の両手を、男は自分の大きい両手でパンのようにはさむと、アイマイな言葉で「ね!」と云った。私はたまらなく憎しみを感じると、涙を振りほどきながら、男に云った。
「私は淫売婦じゃないんですよ。食えないから、お金だけが借してほしかったのです。」
隣室で、妻君のクスクス笑う声が聞こえる。
「誰です笑っているのは! 笑らいたければ私の前で笑って下さい! 蔭でなぞ笑うのは止して下さい!」
男の出て行った後、私は二階から果物籠を地球のようにほうり投げてやった。
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女アパッシュ
二月×日
あゝ何もかも犬に食われてしまえ!
寝転ろんで鏡を見ていると、歪んだ顔が少女《むすめ》のように見えて、体中が妙に熱《ねつ》っぽくなって来る。
こんなに髪をくしゃくしゃにして、ガランスのかった古い花模様の蒲団の中から乗り出していると、私の胸が夏の海のように泡立って来る。汗っぽい顔を、畳にべったり押しつけてみたり、むき出しの足を鏡に写して見たり、私
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