り込んで来た。
「あゝ極楽! 極楽!」
すべすべと柔い十子のふくらっはぎ[#「ふくらっはぎ」に傍点]に私の足がさわると、彼女は込み上げて来る子供の様な笑い声で、クツクツおかしそうに笑った。
寒い夜気に当って、硝子窓がピンピン音をたてゝいる。
家を持たない女が、寝床を持たない女が、可愛らしい女が、安心して裾にさしあって寝ている。私はたまらなくなって、飛びおきると、火鉢にドンドン新聞をまるめて焚いた。
「どう? 少しは暖い!」
「大丈夫よ……。」
十子は蒲団を頬迄しずり上げると、虫の様に泣き出してしまった。
午前一時。
二人で支那そばを食べる。
朝から何もたべていなかった私は、その支那そばがみんな火になるような気がした。
炬燵がなくとも、二人でさしあって蒲団にはいっていると、平和な気持ちになる。いゝものを根限り書こう――。
二月八日
朝六枚ばかりの短編を書きあげる。
此六枚ばかりのものを持って、雑誌社をまわる事は憂鬱になって来た。十子食パンを一斤買って来る。
古新聞を焚いて茶をわかしていると、暗澹とした気持ちになって、一切合切が、うたかたの泡より儚なく、めんどくさ
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