ゃる貴方の目が、いつ私をくびきる[#「くびきる」に傍点]かも判らないし、なるべく、私と云う売り子に関心を持たれないように、私は下ばかりむいているのです。
 あまりに長いニンタイ[#「ニンタイ」に傍点]は、あまりに大きい疲れを植えて、私はめだたない人間にめだたない人間に訓練されて来たのです。
 あの男は、お前こそめだつ人間になって闘争しなくちゃ嘘だと云うのです。
 あの女は、貴女はいつまでもルンペンでいけないと云うのです。
 そして、勇カンに戦かっているべき、彼も彼女も……。
 彼いっこ[#「いっこ」に傍点]の白き手のインテリゲンチャ!
 彼女いっこ[#「いっこ」に傍点]のブルジョワ夫人!
 仲間同志で嫉妬に燃えています。
 彼や彼女達が、プロレタリヤを食い物にして、強権者になる日の事を考えると、宇宙はどこが果てなんだろうと考えるし、人生の旅愁を感じる。
 歴史は常に新らしく生きる――。そこで磨れ[#「磨れ」に傍点]ば燃えるマッチがうらやましくなった。

 夜――九時。
 省線を降りると、道が暗いので、ハーモニカを吹き吹き帰える。
 詩よりも小説よりも、こんな単純な音だけど音楽はいゝナ。
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