ぽどつまらない。」
「火事が来たって、大水が来たって逃げられないから……」
「馬鹿ね!」
「ホッホッ誰だって馬鹿じゃないの。」
 女達のおしゃべりは夏の青空、あゝ私も鳥か何かに生れて来るとよかった。
 電気をつけて阿弥陀を引く。
 私は四銭。女達はアスパラガスのように、ドロドロ白粉をつけたまゝ皆ゾロリと寝そべって、蜜豆を食べる。
 雨がカラリと晴れて、窓に涼しい風が吹いている。
「ゆみちゃん! あんたいゝ人があるんじゃない! 私そう睨んだわ。」
「あったんだけど遠くへ行っちゃったのよ。」
「素的ね。」
「あら、なぜ?」
「私別れたくっても、別れてくんないんですもの。」
 八重ちゃんは空になったスプーンを嘗めながら、今の男と別れたいわと云う。どんな男と一緒になっても同じ事だと私が云うと、
「そんな筈ないわ、石鹸だって、拾銭のと五拾銭のじゃ、随分品が違ってよ。」

 夜。
 酒を呑む。
 酒に溺れる。
 もらい――弐円四拾銭、アリガタヤ、カタジケナヤ。

 七月×日
 心が留守になると、つまずきが多い。ざんざ降りの雨の中を、私を乗せた自動車《くるま》は八王子街道を走っている。
 もっと早く
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