癖
みなそれだ
ああ、ああ、ああ、
切りつけろそれらに
とんでのけろ、はねとばせ
私が何べん叫びよばった事か、苦しい、
血を吐くように芸術を吐き出して狂人のように踊りよろこぼう。
[#ここで字下げ終わり]
槐多はかくも叫びつゞけている。こんなうらぶれた思いの日、チェホフよ、アルツイバァセフよ、シニツラァ、私の心の古里を読みたい。働くと云う事を辛いと思った事はないが、今日ほど、今こそ字がなつかしい。だが今は皆お伽話の人だ。
薄暗がりの風呂敷の中に、私は直哉の和解[#「和解」に傍点]を思い出した。
こんなカフェーの雑音《おと》に巻かれると、日記をつける事さえ、おっくうになって来る。
まず雀が鳴いているところ、朗らかな朝陽がウラウラ光っているところ、陽にあたって青葉の音が色が、雨のように薫じているところ……槐多ではないが、狂人のように、一人居の住居が、イマ! イマ! 慾しくなった。
十方空しく御座候だ! 暗いので、只じっと瞳をとじている。
「オイ! ゆみちゃんはどこへ行ったんだい!」階下でお上さんが呼んでいる。
「ゆみちゃん居るの……お上さんが呼んでゝよ。」
「歯が痛いから寝
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