燵にあたって、お母アさんへ手紙を書く。
 ――ビョウキシテ、コマッテ、イルカラ、三円クメンシテ、オクッテクダサイ。

 此間の淫売婦が、いなりずし[#「いなりずし」に傍点]を頬ばりながらはいって来る。
「おとついはひどいめに会った! お前さんもだらしがないよ。」
「お父つぁん怒ってた?」

 電気の下で見ると、もう四十位の女で、バクレン[#「バクレン」に傍点]者らしい崩れた姿をしていた。
「私の方じゃあんなのを梟と云って、色んな男を夜中に連れこんで来るんだが、あんまり有りがたい客じゃないんですよ。お父つぁん油しぼられて、プンプン怒ってますよ。」
 人の好さそうな老いたお上さんは、茶を入れながら、あの女をのゝしっていた。

 夜うどん[#「うどん」に傍点]をたべる。
 明日はこゝの叔父さんの口ぞえで青バスの車庫へ試験うけに行ってみよう……。

 電線が鳴っている。
 木賃|宿街《ホテルガイ》の片隅に、此小さな女は汚れた蒲団に寝ころんで、壁に張ってある、大黒さんの顔を見ながら雲の上の御殿のような空想をする。
 国へかえってお嫁さんにでも行こうかしら。――

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