兄さんの家でもらった、デベラ[#「デベラ」に傍点]の青籠と風呂敷包みをかゝえて、ピヨピヨした板を渡って、船へ乗った。
「気をつけてのう……。」
「えゝ! 兄さんもうストライキはすんだんですか。」
「○○が仲へ入って三割かた職工の方が折れさせられて手打ちになったが、太いもんにゃかなわ[#「かなわ」に傍点]ないよ。」
 男は寝ぶそくな目をシパシパさせて、波止場へ降りて来た。
「体が元気だったら、又いつか会えるからね。」
 船の中は露に濡れた野菜がうずたかく積んであった。

 あゝ何か馬鹿になったような淋しさで、私は口笛を吹きながら、遠く走る島の港を見かえった。二人の黒点が消えると、静かなドックの上に、ガアン ガアンと鉄を打つ音がひゞいていた。
 尾道についたら、半分東京へ送ってやろうかな、東京へかえったら、氷屋もいゝな、せめて暑い日盛りを義父さんが、ウロウロ商売をさがして歩かないように、此暮は楽に暮らしたいものだ。
 私は体を延ばして、走る船の上から波に手をつけてみた。
 手を押しやるようにして波が白くはじける、五本の指に藻がもつれた糸のようにからまって、しおしおとしている。
「こんどのス
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