らってお金を置いて帰える。
世の中は、よくもよくもこんなにひゞ[#「ひゞ」に傍点]だらけになるものだ。昨日まで、元気にミシンのペタルを押していた安さん夫婦を思い出す。春だと云うのに、梅が咲いたと云うのに、私は電車の窓に凭れて、赤坂のお濠の灯をいつまでも眺めていた。
四月×日
父より長い音信来る。
長雨で、飢えにひとしい生活をしていると云う。花壺へ貯めていた十四円の金を、お母さんが皆送ってくれと云う。明日は明日だ。
安さんが死んでから、あんな軽便な猿股も出来なくなってしまった。
もう疲れきった私達は、何もかもがメンドくさくなってしまった。
「死んだ方がましだ。」
十参円九州へ送る。
「わし達ゃ三畳でよかけん、六畳ば誰ぞに貸さんかい。」
かしま[#「かしま」に傍点]、かしま[#「かしま」に傍点]、かしま[#「かしま」に傍点]、私はとても嬉しくなって、子供のように書き散らすと、鳴子坂の通りへ張りに出た。
寝ても覚めても、結局死んでしまいたい事に落ちるが、なにくそ! たまには米の五升も買いたいものだ。お母さんは近所の洗い張りでもしようかと云うし、私は女給と芸者の広告がめ
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