しい本がプンプン匂っている買いたいな。
泥濘にて道悪し、道玄坂はアンコを流したような舗道だ。一日休むと、雨の続いた日が困るので、我慢して店を出す。
色のベタベタにじんでいる街路に、私と護謨靴屋さんきりだ。
女達が私の顔を見てクスクス笑って通る。頬紅が沢山ついているのか知ら、それとも髪がおかしいのか知ら、私は女達を睨み返えしてやった。
女ほど同情のないものはない。
ポカポカお天気なのに道が悪い。昼から隣にかもじ[#「かもじ」に傍点]屋さん店を出す。湯銭が弐銭上ったとこぼしていた。
昼はうどん二杯たべるの――拾六銭也――
学生が、一人で五ツも買って行ってくれた。今日は早くしまって芝へ仕入れに行って来よう。
帰えり鯛焼きを拾銭買う。
「安さんがお前、電車にしかれて、あぶないちゅうが……。」
帰えると、母は寝床の中から叫んだ。
私は荷を脊負ったまゝ呆然としてしまった。
昼過ぎ、安さんの家の者が知らせに来たと母は書きつけた病院の紙をさがしていた。
夜芝の安さんの家へ行く。
若いお上さんが、眼を泣き腫らして、病院から帰えって来た。
少しばかり出来上っている品物をも
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