も優さしくされると、嬉し涙がこぼれます。大きな声で深夜の街を唄でもうたって歩きたい。
 夏から秋にかけて、異常体になる私は働きたくっても働けなくって弱っています。故、自然と食う事が困難です。
 金が慾しい。
 白い御飯にサクサクと歯切れのいゝ沢庵でもそえて食べたら云う事はないのに、貧乏すると赤ん坊のようになる。
 明日はとても嬉しいんです、少しばかりの原稿料がはいります、それで私は行けるところまで行ってみたいと思います。
 地図ばかり見ているんですが、ほんとに、何の楽しさもない此カフェーの二階で、私を空想家にするのは、梯子段の上の汚れた地図です。
 ひょっとしたら、裏日本の市振と云う処へ行くかも知れません。生きるか死ぬるか、とに角、旅へ出たい。
 弱き者よの言葉は、そっくり私に頂戴出来るんですが、それでいいと思う、野性的で行儀作法を知らない私は、自然へ身を投げかけてゆくより仕方がない。此儘の状態では、国への仕送りも出来ないし、私の人に対しても済まない事だらけです。
 私はがまん強くよく笑って来ました、旅へ出たら、当分田舎の空や土から、健康な息を吹きかえすまで、働いて来るつもりです。
 
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