く清楚《せいそ》にと思います。映画の真似なのか、剃《そ》った眉《まゆ》の上に眉を描いていて、四本の眉を持った女のひとに時々会いますがぞっ[#「ぞっ」に傍点]としてしまいます。アイシァドウも、よき家庭の娘はつけません。美容師の方たちにおこられそうだけれど、日本の西洋流の化粧は田舎っぺだと思います。(と云って、お前はどうかと云われたら、私は大田舎っぺだと逃げておきます。ただしその田舎っぺは西洋流でないだけです)
利口な女のひとの何気ない化粧と何気ない趣味の着物にあうと、浸《し》み透るものを感じます。何も高価なものばかりが高い趣味ではないのですから、もっと、若い女の方たちが個性のある好みを持ってほしいと思います。さてまた、絣の話になりますが、染のいい絣を着るひとが沢山にならないものでしょうか。さつま絣、久留米《くるめ》絣なぞは勿論《もちろん》しっかりしたものでしょうが、かえって、場違いの土地でいい絣をつくっている所を田舎へ旅してみかけることがあります。紺絣の外《ほか》に好きなのは鹿児島の泥染《どろぞめ》の大島です。洗うほどきれいです。私はかっこう[#「かっこう」に傍点]があまりよくないので
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