をして、帯を高く締めて、腰の線まるだしのお尻の辺へ、大きなチュウリップの模様なぞつけた女のひとを沢山みますが、私はきらいです。利口な女のひとは帯をひくくしめて下さいと云いたい。娘さんだって帯はゆったりとひくく締めている方がたっぷりして美しくみえます。
 それから、もうひとつ女の洋装のこと、洋服を註文するひともされるひとも気がついているのかいないのか、どうなのかなと考える事は、娘の躯《からだ》も年増《としま》の躯もごっちゃ[#「ごっちゃ」に傍点]だと云うことです。
 巴里《パリ》から帰りました時、一番おかしかったのは女学生がセーラアのスカートをかかとの辺まで長くして、腰の下ですぼんだ年増のスカートをはいていたことです。女学生はやっぱり大根足のニュウと出た短かいスカートの方が神聖で愛らしくていいと思います。十八、九歳頃までは少女型のあどけないデザインの服をすすめたく思います。それと反対に、いい年増《としま》が女学生のようなサキュウラの短かいスカートをひらひらしていらしっしゃるのをいまでも見かけますが、年増の方は腰の線の出た長い服を召して下さいと云いたいのです。お化粧のことも、娘さんはなるべ
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