で落付きはらつた
その男ぶりに
すつかり私の魂はつられてしまひました。
お釈迦様
あんまりつれないではござりませぬか!
蜂の巣のやうにこわれた
私の心臓の中に
お釈迦様
ナムアミダブツの無情を悟すのが
能でもありますまいに
その男ぶりで炎の様な私の胸に
飛びこんで下さりませ
俗世に汚れた
この女の首を
死ぬ程抱き締めて下さりませ。
ナムアミダブツの
お釈迦様!
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帰郷
古里の山や海を眺めて泣く私です
久々で訪れた古里の家
昔々子供の飯事に
私のオムコサンになつた子供は
小さな村いつぱいにツチ[#「ツチ」に傍点]の音をたてゝ
大きな風呂桶にタガ[#「タガ」に傍点]を入れてゐる
もう大木のやうな若者だ。
崩れた土橋の上で
小指をつないだかのひとは
誰も知らない国へ行つてゐるつてことだが。
小高い蜜柑山の上から海を眺めて
オーイと呼んでみやうか
村の人が村のお友達が
みんなオーイと集つて来るでせう。
[#改ページ]
苦しい唄
隣人とか
肉親とか
恋人とか
それが何であらふ――
生活の中の食ふと言ふ事が満足でなかつたら
描いた愛らしい花はしぼんでしまふ
快活に
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