の米をかしぐ間の私の幻想は
急行列車の中に空想の玩具を積みあげて
火花の鎖のやうに燃へて
走つて行きます。
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失職して見た夢
燃へるやうに暗い夜
月がトンネルにくゞりこんで
沖では白帆がコトコト滑つてゐた
そこでセツケン工場を止めさせられた私が
ソーダでカルメラのやうに荒れた手を
香水の中にひたして泣いてゐた。
どこまで歩いたか知らないが
とにかく暗に火が見へる
おあつらへ向きに腹がへつて
そこは支那料理店だつた
焼きたての豚肉がいつぱい盛られて
一皿八銭
目の光る支那人のコツクに
私は熱い思ひをした
ぢつとふれあつてゐる腕に
支那人のコツクは蛇を巻きつかせてヘツヘツ……
長い髪を上へかき上げたら
私の可愛い恋人であつた。
手品の蛇が飛んぢやつた!
青い泡が固いセツケンになつてしまつた。
私と恋人は野に転び小指をつなぎ合はせて接吻したが
恋人は此世ではとても食つて行けないからと
私の小さい胸をぶち抜かうとした
赤い火花が固いセツケンになつてしまつた
私は支那料理が食ひたくなつて
海上を一目散に逃げ出した
ズドン一散! 私の貞操は飛んぢやつた。
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