時ちゃんが、ソーダ水でジュウジュウ口をすすぎながら呶鳴《どな》っていた。お上さんは病気で二階に寝ている。何時《いつ》も女給達の生血を絞っているからろくな事がないのよ。しょっちゅう病気してるじゃないの……こう言ってお由さんはお上さんの病気を気味良がっていた。
(六月×日)
お上さんはいよいよ入院してしまった。出前持ちのカンちゃんが病院へ行って帰ってこないので、時ちゃんが自転車で出前を持って行く。べらぼうな時ちゃんの自転車乗りの姿を見ていると、涙が出る程おかしかった。とにかく、この女は自分の美しさをよく知っているからとても面白い。――夕方風呂から帰って着物をきかえていると、素硝子の一番てっぺんに星が一つチカチカ光っていた。ああ久しく私は夜明けと云うものを見ないけれど、田舎の朝空がみたいものだ。表に盛塩《もりじお》してレコードをかけていると、風呂から女達が順々に帰って来る。
「もうそろそろ自称飛行家が来る頃じゃないの……」
この自称飛行家は奇妙な事に支那そば一杯と、老酒《ラオチュー》いっぱいで四五時間も駄法螺《だぼら》を吹いて一円のチップをおいて帰って行く。別に御しゅうしんの女もなさそ
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