捨ててかえりみない場合、妻が逆上して殺人を犯す場合もあり得ると思います。よく世間では、男の犯罪の後にはかならず女があると云いますけれど、こうした場合、どう云う風に云えるものでしょうか。道徳はきびしいものです。女の犯罪は、何時《いつ》も自分の家庭に関係しているようです。わたしは、現犯時の年齢と罪名と云う統計の一つをここへ書いてみましょう。
年齢と罪名をてらしあわせてみますと、その年齢によって、年々の女の生活がよくわかって来るような気がします。
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十八歳未満が、窃盗二人、嬰児《えいじ》殺し一人。
二十歳未満が、窃盗二人、強盗一人、放火二人。
二十五歳未満が、窃盗四人、詐欺二人、殺人一人、嬰児殺し二人、放火四人、治安維持法違反一人。
三十歳未満では、窃盗十一人、詐欺四人、殺人四人、放火五人。
三十五歳未満は、窃盗四人、詐欺二人、傷害一人、殺人六人、嬰児殺し三人、放火五人。
四十歳未満では、窃盗八人、詐欺二人、殺人一人、嬰児殺し三人、放火六人、治安維持法違反一人。
五十歳未満、窃盗十八人、詐欺五人、殺人四人、嬰児殺し五人、放火十人、賭博《とばく》一人。
六十歳未満は、
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