幽閉されている家へ、裏からなだれ込んだときは……。
家の中には、二人の影はなく。
唖の娘がただ一人、ポツネンとすわったまま、左膳と源三郎へ向かってしきりに日光の町のほうを指さしてはもの言いたげな風情《ふぜい》を示すのみ。
「そうだッ! 護摩堂の壁へ――と、求援の文《ふみ》にあった。これは急がねばまに合うまい」
気づいた左膳がさきに立って、一行はただちに造営奉行所に近い護摩堂へと、かけつけたのだった。
乱闘の場《にわ》……火は、こうして起こったのです。
三
暴風雨《あらし》にまぎれて、求援状を封じこめた竹筒を、お美夜ちゃんに持たして裏山づたい、谷川の流れに投げこんだものの……。
いつ誰の眼に触れて、拾いあげられようという当てもない。
言いようもない心細さのうちに日は容赦なくたつ。同時に、眼に見えない人がきはぐるりと幾重にも、その監禁の家をとり巻いて――。
と、今宵。
その眼に見えない牢格子の扉が、ギイッと音なき音をたててあいたのです。
「サ、お美夜や、もうこうなったら助かりようはありません。たとえどんなことになろうと、あたしとお前は、母と娘として、いつ
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