さくさにまぎれて探せば、ひょっとすれば、知れぬこともあるまいと思われるが」
「とにかく、一刻をあらそう場合」
作爺さんは何を思ったか、仕事部屋の板敷を一足とびに、その奥の土間へかけこんだかと思うと、
「これ! 足曳《あしびき》や、われとおらあながいあいだ、ひとつ屋根の下に暮らして、たがいに気心も知り合ったなかだ。今おれの娘と孫娘が、むごたらしく人柱にされようという瀬戸ぎわだ。一つ、存分に働いてくれよなア……」
と、まるで人にもの言うよう……にわかにくつわ[#「くつわ」に傍点]を取りつけ、裸馬のまま引き出してきたのへ、
「うむ、これは思いつき!」
ととび乗る泰軒居士、身の軽い老人と子供のことだから、作阿弥とチョビ安を前後にかかえこんで、三人を乗せた名馬足曳は、一路焔を望んで、道なき山道を日光の町へ――。
二
「おお、かようなところに、小流れがある」
と、足もとの闇をすかして、源三郎が言った。
やっとのことで、一行が日光の町の下までたどり着いた夜中。
眼の前には、真っ黒な山が切り立つようにそびえて、はるか上の断崖のふちに、雑木林にかこまれた一軒家の灯が、何事か
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