くにおると? オイ左膳殿! オーイ、丹下……!」
 なつかしそうな声でよばわりながら、ガサガサと草を分けて、こっちへ来る気配。

       八

 道しるべの立っている四つの角――丹波にとっては、知らず、生命の辻。
 腰から上を穂すすきの波に浮かべて、ぬっと街道へたち現われた丹下左膳を見るが早いか、
「三方子|川尻《かわじり》の、漁師六兵衛の住居《すまい》以来だったナア」
 ニタっと笑って、そうつぶやいた伊賀の暴れん坊、いきなり、右の肩がグイとあがって、白い棒のような光が、細い鏡のごとく陽に光ったと思うと……抜いたのだ。斬りつけたのだ。
 居合抜き……。
「アッ痛《つ》ウ――!」
 ざッくり横腹を割りつけられてうめきながらよろめいたのは、ほかでもない……峰丹波。
「ナ、何をする! これ、源三郎殿、何をなさるる!」
 腕の相違というものは、いたしかたがない。
 足《そく》もひらかず、からだも動かさずに、突如、刀で指さすように横にはらった源三郎の剣を、峰丹波、受けるには受けた。が、胴ッ腹で受けた。これじゃア受けたことにならない。
 与吉は、すでに逃げ腰、左膳につづいて草むらからあらわれ
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