峰丹波へ、うまくとりいったのだろう。
「ヘエ、こんどこそはあっしが、あのチョビ安ってエ大人小僧をつけねらって、ナアニ、きっとこけ猿の茶壺を手に入れてお目にかけやす。ヘッ、お茶の子さいさい」
 例によって安請合い、おおいに丹波の前にいい顔をしておいて、それからずっとこのトンガリ長屋を夜となく昼となく、見張りはじめたというわけ。
 与吉のやつは、チョビ安に、忘れられない恨みがあるんです。
 そもそもこの事件の当初。
 うまく品川の宿舎《やど》から、こけ猿の壺を盗み出したのに、途中でそれをうばって逃げ出したのが、あのチョビ安。あれがこの紛糾のもととなったのですから、チョビ安に対する与吉のうらみたるや、山よりも高く、海よりも深い。
「こんどこそはあの小僧のやつを、とっちめてやるぞ」
 と、昼夜兼行で、ねらっていると。
 すると、今夜のこと。
 誰かわからぬが、偉そうな覆面の侍が、この長屋をおとずれたと思うまもなく、チョビ安と泰軒が、連れだって旅へ出たようす。見送りの長屋の連中のうしろに立って、それとなく聞いたところでは。
 日光へ……という。
 ハテナ? と思うひまもなく、こんどはたえてひさし
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