とには――。
大小二人の変物が、妙《みょう》ちきりんな生活をこの家に送っている……蒲生泰軒とチョビ安|兄哥《あにい》と。
味気《あじき》ない思いのチョビ安です。顔を見たこともない父母が、恋しいばっかりに、あの「むこうの辻のお地蔵さん」の唄をうたって、親を探しに江戸へ出てきたのですが。
伊賀の柳生の者とだけ、いまだにその親にはめぐり会えず、かりに父ときめた丹下左膳とも離ればなれになり、親がわりのように世話をしてくれた作爺さんは、日光へ取られる。
子供心にも、恋人気どりのお美夜ちゃんには、ひと足さきに母親が名乗りでて、しかも、二人いっしょにこれも日光へ。
残った泰軒先生は、ガブガブ酒を飲みながら、毎日幾件となく持ちこんでくる、江戸じゅうの巷の人事相談に応じているばかり。チョビ安の「親をたずねる人事相談」にだけは、このさすがの泰軒先生も、手も足も出ない形。
ところが、今宵、めずらしくこの家に客があるのです。
しきりに、しんみりとした話し声。
三
まだ宵の口を、ちょっとまわったばかりのころ。
「では、大作、そのほうはここで待っておれ」
そう言いすてて、このト
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