すると、一風宗匠代参の腰元と、その狼藉者とは、知りあいとみえるな。シテ、ふたりの話では――どこへゆくと申しておった?」
「ナ、なんでも、浅草竜泉寺の――?」
「コラッ! 気をたしかに持てッ! その浅草竜泉寺の――?」
「ハッ、拙者は、もうこれにて……竜泉寺のとんがり長屋とかへ――闇中《やみ》に、そういう話し声が聞こえました」
人ふたり斬り殺された真夜中のさわぎ。両側の家々では、細目に板戸をあけて、おっかなびっくりのぞいているし、番太戸《ばんたど》の注進で、町役人たちもおいおいと出て来るようす。
かかり合いになって、この場をはずせなくなってはたまらないと、源三郎は二人の死傷者の始末に、上屋敷の者をその場へ残し、サッと風のように浅草の方角をさしてかけだしました。
その、おなじみの浅草竜泉寺のトンガリ長屋。
作爺さんの家では……。
名を秘め、世を忍んで、お美夜ちゃんとたった二人、ながらくただの作爺さんで日を送ってきた作阿弥が、柳生対馬守によって日光御造営へ召し出されたあと。
すぐそのあとを追って、お美夜ちゃんが母親のお蓮様とともに、これも日光へ発足《ほっそく》してしまう。
あ
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