は、旧友に会おうとする心のときめきで、いっぱいだった。

       二

「オオ、ここだここだ!」
 一人が叫んで、三枚橋を黒門町のほうへすこし行った路傍に、まぐろのように横たわっている死骸へ、提灯の灯をつきつけて、
「ヤ! こいつはだめだ! 殿ッ、これはすっかり息の根が絶えております」
「もう一人斬られたはずですが……」
 駕籠について来た上屋敷の侍がひとりごとのように言いながら、闇の足もとを見まわすと――。
 近くに、断末魔のうめき声……まるで地の底からゆすれあがってくるような。
 耳ざとく聞きつけた源三郎が、その声を頼りに探ってゆくと、左側の家のしめきった大戸によりかかって、一人の侍が、血の池の中に大あぐらをかいたまま、
「駕籠は……駕籠は――」
 口ばしっている。
「駕籠はここにあるぞ。しっかりせい!」
 と肩に手をかけて、源三郎がのぞきこむと、
「ウム、駕籠はここにあるが、乗っておったお藤どのは、あの浪人者のあとを追って――」
「サ、その浪人者だが、どっちの方角へまいった?」
「は……ア、アノ、この山下を車坂のほうへ、ソ、それから、なんでも二人の話では――」
「二人の話?
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