たわ」
先をゆく左膳、振りかえりもせずに、
「その姿はどうしたというのだ」
「なんて、きくところをみると、それでもすこしは気になるとみえるね。ウフッ、東海道を与吉といっしょに、流しているうちに、柳生の殿様につかまって、おもしろい女というんで、おそばに仕えることになったんだが、今その殿様は、日光御造営のお奉行になって、日光《あっち》へ行ってしまうし、あたしゃ百いくつとかのお化けのようなお爺さんの世話をしながら、しんき臭い日を送っていたのさ。ほんとうに、またお前さんに会えようなどとは、夢にも思わなかったよ」
四
この櫛巻姐御をひと眼見て、これは何か使える、見どころがある……と、腰元として江戸まで連れて来、上屋敷に置くことになった柳生対馬守は。
どういう考えだったのでしょう。
その後、なんのこともなく、ただそば近く使っておいただけ。こんど日光へゆくに当たって、お藤をあの一風宗匠づきとして、林念寺前の屋敷内の茶席に残してゆくことになったのですが……。
さて今、お藤は、左膳のうしろから、ノコノコついてゆきながら、
「それで、あたしの仕事というのは、その一風というお爺さ
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