の御霊《みたま》を安んぜしめるために、人柱をささげるということは、ほかにも聞いたおぼえがある。
 すると、ちょうど今夜のように。
 黒暗々の夜空をつらぬく一|閃《せん》の稲妻のごとく、このときお蓮様の心に、すべての事情がうなずかれたのだった。
 人柱! ありえないことではない。
 どこかの壁へ、このわたしとお美夜を生きながら塗りこめて……そういえば、思い当たるふしだらけである、あの鹿沼新田《かぬましんでん》の関所で捕まったとき、母娘《おやこ》かということを、あんなに念をいれてきいたのも、さては、母と娘の人柱が必要であったのだ!
 今はこうしてここに、自分たちを飼っておいて、そのときが来るのを待っているに相違ない。
 血ばしった眼で、空《くう》をにらんだお蓮様は、
「お美夜! サ、しっかりして……!」
 と、思わず、小さな肩を握りしめていた。

       八

 これですべてが読めた!
 お蓮様はやつぎばやに、お梶へ向かってうなずくと、そのわかったという意味が、聞こえぬ耳にも通じたとみえ、お梶はニッコリするとともに、さきほどからの手真似話に精根つき果てたとみえ、ベッタリそこへくずおれ
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