気味な景色であった。
 唖美人……それは、うつくしい獣を連想させる。
 お美夜ちゃんは、もうすっかりおびえきり、お蓮様も、何ものかにつかれたように、母娘《ふたり》はお梶に手を取られるまま、フラフラと膝を立てて、
「コレ、何をするの、お梶」
「母ちゃん、こわいよウ!」
 うわア、うワア!……というような声を、お梶はつづけざまに発しながら、全身の力をそのかぼそい腕にこめて、母と娘を壁に押しつけた。
 そうしておいて、手早く壁土を塗りこめる手つき。
 これでもわからないか!――と言わぬばかりのもどかしさが、顔いっぱいにあらわれて、お梶の眼は、必死の涙にうるんでいる。
 お蓮様とお美夜ちゃんは、白痴の相手をして遊んでいるような、気恥ずかしいようすで、されるとおりになって壁の前に立ちならんでいたが、お梶がいつまでも、左官のしぐさを繰り返すだけなので、お蓮様ははじめて、オヤ! これは変だ。何か重大な意味があるのでは……。
 と、思ったとき!
 フと胸をかすめたのは、遠い子供のころ、乳母か誰かに聞いたことのある、あの、「もの言はじ、父は長柄の……」の人柱のこと!
 大きな土木工事には、土の神、木の神
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