し》。

       七

 お梶は一生懸命に、身ぶりをつづけて、背中を壁にすりつけたり、壁の前に立って、しきりに土を塗る手つきをするやら……左官の妹だけに、壁屋の手まねは堂にいっている。
 かと思うと、こんどは、お蓮様とお美夜ちゃんを指さして、眼をつぶり、呼吸《いき》をつめて見せるのは、「死ぬ」という意味を表わすつもりだろうが、まるで踊りの手ぶりを見ているようで、こんなことでわかるはずはない。
 お蓮様とお美夜ちゃんは、あっけにとられて見まもるのみ。
 お梶はもどかしそうに、身もだえしていたが、やがて、新しい方法を思いついたと見え、急に、にっこりすると同時に、
「ウウウ――」
 と、異様にうめきながら、母娘《おやこ》の手を取ってグイグイ引き立てる。
 雨中《うちゅう》のすき間から、一瞬間、サッと青白い光が射し込んで、畳の目をくっきり描きだすのは、雷《らい》が、ちょうど頭の上へ来ているらしい。
 戸障子のはためき、屋棟《やむね》のうなり、この小さな家は、今にもくだけ飛びそうである。
 灯影《ほかげ》の暗い室内に、狂気のようにあせり動くお梶の影だけが、大入道のようにゆらいで、なんとも不
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