風情。
口のきけぬをもどかしがるありさまに、これは何事か、思いきって言いたいことがあるのだなと、見てとったお蓮様。
キチンと両手を膝に、すわりなおして、
「なんです」
という眼顔をしてみせる。
それにいきおいを得たように、お梶はフラフラと立ちあがって、壁際へ走り寄った。
そして、両手をひろげて壁の前に、こっち向きに立ちながら、お蓮様とお美夜ちゃんを指さして、ふしぎな泣き声をその口からもらすのだ。
あなた方お二人は、夢にも知らないだろうが。こうして壁へ塗りこめられて……。
という意味を示すつもりだろうが、人柱などという複雑なことが、こんな簡単なしぐさひとつで、わかろうはずがない。
お蓮様はふしぎそうに、お美夜ちゃんをかえり見、
「なんだろうねえ」
「あたし、気味が悪いわ」
お美夜ちゃんはこわそうに、母のかげへまわる。
じっさいそれは、妖異な場面であった。唖の娘が、何事か懸命に知らせようとして、渾身《こんしん》の力をこめてさまざまの動作をする室内。行燈の灯《ひ》がお梶の影を、大きく壁に踊らせて。
戸外《そと》は、地殻《ちかく》も割れんばかりのすさまじい大|暴風雨《あら
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