今より、奉行所の大切な賓客《ひんきゃく》じゃ。われらがお供申しあげるにより、これより用意の駕籠《かご》に召されて――」
と玄蕃、ポンポンと手をたたくと、かねて手はずの山駕籠が一丁、焚き火の光のなかへかつぎこまれて来る。
「御遠慮無用。サ、これへ……」
逃がすまいと、手取り足とらんばかりに、はや、駕籠へ――なるほど、たいせつな人柱、これは逃がされない。
芸心《げいしん》阿修羅《あしゅら》
一
カット照りつける陽の光の底に。
どこやらうっすらと、秋の気配の忍びよる午後である。
今は日光小学校があります。あれに沿って左に曲がり、四本竜寺の前を過ぎて、その道を真っすぐにとってゆけば、さらに右手に、稲荷川のつり橋。
あれから左に折れると、外山《そとやま》。
一直線に行けば、霧降道《きりふりみち》だ。
外山はつり橋から五、六町も行けばすぐふもとについて、山麓《さんろく》には凍岩《こおりいわ》、摺子岩《すりこいわ》があり、山上のながめは日光第一といわれているが――
つり橋のたもとから、途中に律院《りついん》と梅屋敷のそばを過ぎて、渓流にかかった橋を渡ると
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