ていた関所番人は、今このお美夜ちゃんの言葉を聞くと、グッと大きく一人でうなずき、
「ヨシヨシ、いま手形を書いてやるから、そこに待っておれ」
言いすてて、足を宙にとびこんで来たのが、役人のつめている番所だ。
「おのおの方、とうとう親娘《おやこ》の旅の者が引っかかりましたぞ。しかも、美しい母と、あどけない女の子で。これでわれわれの大任もおりたというもの」
茶を飲んでいた津田玄蕃が、急ぎ床几《しょうぎ》を離れて、
「それはお手柄。拙者もこれで安心いたした。では、かねての手はずのとおりに……」
なにやら低声《こごえ》に命令をくだした玄蕃は、お蓮様とお美夜ちゃんの待ってるところへ、たちいでて、
「コレハコレハ、よく来られた。むろんお手前はまだ、御存じではあるまいが、このたびの日光造営奉行たるわが藩においては、このお山どめの関所開きに、はじめて関所にさしかかった母と娘の二人連れを、縁起祝いとしておおいにもてなすことになっておるのじゃ」
生きながら壁へ塗りこめてしまうのが、なんで待遇《もてなし》なものか。
何も知らないお蓮さまが、あっけにとられていると、玄蕃はかまわずつづけて、
「二人とも
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