んできたな」
 泰軒が苦笑して、ムックリ起きあがったとき……。
「泰軒小父ちゃん、おいらも相談を持って来た」
 と、門口からチョビ安の声。

       五

 女房の不平をまくしたてようとする銅義を、傍《かた》えに押しやったチョビ安は、お美夜ちゃんの手を取って、二人並んで泰軒先生のまえにすわった。
「おじちゃん! 聞いてくんねえ」
 泰軒居士は、口をひらく前に、例によってその関羽《かんう》ひげをしごく。
「なんじゃ、安。いま来客中じゃ。あとで言いなさい」
「なんでエ! 相談のお客さんなら、おいらだってお客さんじゃアねえか」
 とチョビ安は、小さな膝をすすめて、
「このお美夜ちゃんが、わからねえことを言ってきかねえから、ひとつ小父ちゃんから、納得のいくように説き聞かせてもらおうと思って……」
「オヤ! チョビ安、もうお美夜ちゃんと夫婦げんかとは、すこし早いぞ、ははははは」
 銅義はすっかりお株をとられた形で、キョトンとして聞いている。
「お美夜ちゃんはお蓮さんといっしょに、日光へ行きてえというんだよ、作爺ちゃんのあとを追っかけて」
 とチョビ安が言った。
 それを聞くと、台所にいたお
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