すセンチになるばかりじゃアねえか」
きめつけられた石金は、
「まあサ、おめえが来たから、おいらも安心したよ。ひとつ水いらずで、とっくりと納得させるがいいワサ」
言いすてて、家へはいる石金へ、
「何いってやんでエ」
と舌を出したチョビ安、
「サ、お美夜ちゃん、こんなところに立ってると、蚊に食われるよ。そんなに泣いてばかりいた日にゃア、黒瞳《くろめ》が流れてしまうぜ、ホラ、おいらを見ねえ……東西東西! 物真似名人、トンガリ長屋のチョビ安|太夫《だゆう》、ハッ! これは、横町の黒猫《くろ》が、魚辰《うおたつ》の盤台をねらって、抜き足差し足、忍び寄るところでござアい!」
ピョンとひとつとんぼ返りを打ったチョビ安、大道に四つんばいになって、泥棒猫のかっこうよろしく、おかしなようすでしきりにお美夜ちゃんの足もとをはいまわる。
お美夜ちゃんの悲しみをなぐさめようとの一心。
なんとかしてニッコリ笑わせようと、チョビ安一生懸命だ。
「サテ、おつぎはと――こけが刺子《さしこ》をさかさまに着て、火事へかけだすところ!」
自分で口上を言いながらの一人芝居だから、イヤそのいそがしいことといったら。
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