ゆかたの裾をスッポリ頭からかぶって、あわてふためいたしぐさでお美夜ちゃんのまわりを走りまわったが、
「オヤ! これでもまだ笑わねえナ。よし、それでは……と、アそうだ、こんどは、按摩《あんま》が犬にほえられて立ち往生の光景! ハッ!」
 ポンと手をたたいたチョビ安、案山子《かかし》のような形にお美夜ちゃんの前につっ立ちながら、そっとうす眼をあけてうかがうと、お美夜ちゃんはそれを見もせずに、涙にぬれた眼をいぜんとして、北の空へ上げている。
「こんなに骨を折っても、どうしても笑わねえのかなア……ああくたびれちゃった」
 チョビ安はべそをかかんばかり、ペチャンと往来にすわってしまった。

       三

「だって、あたいがお父ちゃんのように思ってきた、あのお爺さんがすきなのは、当たりまえじゃないの」
 とお美夜ちゃんは、やっと涙を拭いて、
「安さんだって、父ちゃんやお母ちゃんに会いたいって、いつもあの唄を歌うじゃないか」
 そう言われると、今度はチョビ安がしょげる番。
 だが、彼は、仔細らしく小首をひねって、
「そんなこと言ったって、おめえには、あのお蓮さんていう立派なおっ母が出てきた
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