くして、たったひとこと。
「おじちゃん、お爺ちゃんは、あの雲の下にいるの?」
とききました。
石金はびっくりして、
「え? 作爺《さくじい》さんかえ、オオオオ、かわいそうにナア。お美夜ちゃんはそうやって、作爺さんのあとばかりしたっているのだなア」
「ねえ、おじちゃん、あの赤い雲の下が、日光というところなの?」
「ウウン、日光はナ、もっとずっと北のほうだよ」
と石金は手をあげて、暗く沈みかけている北の空を指さしながらひとり言。
「なるほどなア、産みの親より育ての親というくれえのもんだ。おふくろだというあのお蓮さんが急にけえってきて、木に竹ついだようにチヤホヤしてみたところで、お前はやっぱり、生まれ落ちるとから面倒を見てくれたあの作爺さんのことが、忘れられねえのだろう。無理もねえ、無理もねえ……」
二
フと、うしろにすすり泣きの声がする……ので、石金、ぎょっとして振り返ってみると!
チョビ安です。いつのまにここへ来たのか、真岡《もうか》のゆかたの腕まくりをして、豆|紋《しぼ》りの手拭をギュッとわしづかみにした小さなチョビ安が、お美夜ちゃんと石金のすぐうしろの、用
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